司馬遼太郎著「燃えよ剣」を読んでの感想




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1.はじめに

司馬遼太郎作品を読むのも、時代小説なるものを読むのも初めてだった。読むきっかけは、知人から「坂の上の雲」を勧められたからだ。坂の上の雲は文庫本8巻もあり、手を出すのに抵抗があった。そこでまとめサイトでビギナーにおすすめと紹介されていた上下巻の2冊である「燃えよ剣」を先ず読むことにした。新選組と江戸幕末の話なので最後にどうなるかはわかっていた。読みやすく面白かった。

2.感想

率直な感想を最初に書いておく。
・事実と創作部分の区別がよくわからなかった
・土方歳三に主人公補正がかかりすぎていて作品に完全には入り込めなかった
・近藤勇が無能に書かれすぎている印象を受けた
・斎藤一が出てくるたびに「るろうに剣心(牙突)」が思い出された
・昭和37年から39年に書かれた作品で、文庫本上下巻1,122ページだがすらすら読めた

はじめにに書いたとおり、結末はわかっていた。それでも飽きること最後まで読み進んだのは事実である。上巻の最初は面白く読み進んでいたが、途中から会話が気になり始めた。さすがにこの会話の記録は残っていないだろうと思うような部分があったり、近藤、土方の当時の様子があまりにありありと描写されたりしていて疑問を持ち始めた。著者がまるでその場にいたかのようで記述であった。正直に言うと少し胡散臭さ感じだしていた。「時代小説」を読んだことがなく、何たるかを知らなかったからだろうか。そして、土方歳三の武勇伝があまりにも漫画じみていて、一歩下がって読むようになった。登場人物が全て実在した人物で、その実名を使っていることから私の中では「小説」というとしっくりこなかった。ノンフィクションの原作本を映画やドラマ化すると、登場人物が美男美女になったり、原作には登場しない恋人がいたりするなどする。また、和月伸宏著漫画「るろうに剣心」にも大久保利通や斎藤一など歴史上の人物が登場し幕末から明治にかけての話が書かれている。史実にこういった類の創作、脚色があるのが「時代小説」なのかと下巻の中盤辺りから思うようになりようやくしっくりきた。私はそれほど幕末から明治維新にかけて詳しくはない。高校で習う程度なので、新選組が大きくなっていく過程など知らない点が多かった。読んでいて新たな知見が多かった。この本に書かれていることは概ね事実であろうが、「時代小説」なので申し訳ないが全幅の信頼を寄せることはできない。この本で読んだことは、こういった有力説があるのかと頭にとどめておきたい。

次に個々の人物についてである。局長の近藤勇についてであるが、この本では良さよりも残念なひととして描かれていたように思える。沖田総司については読む前から新選組最強の剣客であるという知識を持っていた。この本ではそれを感じさせる描写が少なく、とにかく土方の鬼神のような強さが目立った。
土方に焦点を中てた作品なのである。

また、近藤、土方の立身出世は読んでいて面白かった。新選組をよく知らなかったが、ここまで地位が高いところまで登りついていたことに驚いた。新選組の人気が高いことにも納得させられるものであった。高校の日本史の教科書では、京都で新選組が暗躍したぐらいにしか書かれていなく私の知識が足りないことを認識させられた。明治維新のころについて初心者向けの専門書でも読んでみようと思った。

3.おわりに

土方に感化されたということは特にない。変わり身の早いひとや腰巾着を私は別に嫌いではない。信念を持って生き続けることは難しいことだろう。土方は戦場で弾が絶対に当たらないなどの話がなかったら、土方をこの本によってもっと好きになっていただろう。平成も終わろうとしている現在においても土方歳三という人物が語り継がれていることには敬意を表さざるを得ない。この本に対して批判的なことも多く書いてきたが、読みやすさがある壮大な歴史上の話で立身出世、幕末から明治の情勢、生き様等様々な要素がある本である。ビギナーにおすすめというのは間違っていなかったと思う。司馬遼太郎を全く知らないというところからは、一歩前進した。
既に「坂の上の雲」の全8巻は購入済みである。覚悟ができたときにまとめて読みたいと思う。

マスター:クレア

<参考文献>
燃えよ剣(上・下)司馬遼太郎著 新潮文庫 新潮出版(昭和47年6月)

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