「しあわせの花・方羽の蝶・風の道しるべ」の読書感想




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はじめに

3冊を読んでの感想である。
もちろん面白かった。そして、とても読みやすく漫画のようにスラスラ読めた。
一方で違和感を覚えた個所があった。
この小説版の挿絵は吾峠先生の書き下ろしであり、集英社出版の公式的な位置付けである。しかしながら、文章自体は吾峠呼先生が書いたわけではなく著者の創作が幾分入っているだろう。
こんな一面もあったのかと素直に受け入れるか、違和感を覚えるかは人それぞれだと思う。
今回は、どこで違和感を覚えたか中心に書きたい。
完全な創作の話というよりは、本編一コマや扉絵を膨らませた話がほとんどである。
例えば、幼少の胡蝶姉妹を鬼から助けたのは悲鳴さんであるのは17巻の8,9ページに書かれている。助けた後のエピソードが方羽の蝶である。
小説であり言葉で勝負の世界だが、原作漫画のような名言、心に残る言葉やセリフはなかったのはやや残念。
本家の偉大さだろうか。

キメツ学園はオリジナルなので、純粋に楽しませていただいた。

先に言っておくと、私の一番好きなキャラクターは蛇柱・伊黒小芭内である。

全体の読書感想

・全体的にキャラクターがコミカルに書かれている
本編にあるような緊張感とは少し離れた物語がほとんど。
・柱が多忙という設定が忘れられている
純情派・コミカルに寄り過ぎた結果、こんなことしている暇あるのとツッコミを入れたくなるシーンがある。
ただ柱9人というのは、歴代でも結構多い方ではないだろうか。
その分、他に戦力になるのは炭治郎と炭治郎の同期だけっていうのが本編の妙なバランスである。
だから結局、柱は忙しいはずだ。

しあわせの花

1.しあわせの花
違和感なし。玉の輿にのれるというレアな花を禰豆子のために炭治郎が夜中にこっそり山へ探しに行く話。
妹思いの炭治郎のエピソード。

2.誰が為に
違和感なし。善逸の切ない片想いの話。あまり言われていてないけど、善逸もまた才能の塊の片鱗の物語。

3.占い騒動顚末記
違和感なし。善逸が占い師に面白おかしく騙される話。至って平和。ただの喜劇。

4.アオイとカナヲ
遊郭に炭治郎たちが行っている間のアオイとカナヲの友情の話。
アオイの炭治郎への気持ちは、もう公式で良いのか?
漫画でもアニメでもあった女たらしの炭治郎の言葉によってアオイの心がときめいたシーンに言及されている。
カナヲの気持ちに気づいて争うこともなく、どこか達観したアオイらしい行いである。
切ない。

方羽の蝶

1.方羽の蝶
一番のメインの話であり、胡蝶姉妹の鬼殺隊に入るまでの話であり読み応えがあった。本編では胡蝶姉妹と悲鳴さんと特別な会話等がなかったので、少し違和感はあった。
ぜひ読み切りかなんかで、漫画で読みたい。余談だが、悲鳴さんの人気だけかなり低いのでこういうスポットライトを当てた作品を見たい。

2.正しい温泉のススメ
元音柱・宇髄さんに上手く丸め込まれて善逸が温泉を掘り当てる話。
脳内彼女など隊士同士の会話は非常に面白かった。
柱稽古中にこんなことが起きていたとしたら、驚き。
本編に持ってこれないような最終決戦前に緊張感のない番外編らしい話だった。

3.甘露寺蜜璃の隠し事
一番違和感を覚えた話だ。伊黒さんがコミカルに書かれすぎている。甘露寺さんのことが好きだからといって、ここまで露骨なことはしないだろう。それにねちねち感が全くなく、もはや伊黒さんかどうかすらわからない。柱は忙しいのに、私事で蝶屋敷にきたりするだろうか。さすがにコミカルに振り切り過ぎているのではないだろうか。
胡蝶屋敷は太陽光を克服した禰豆子がいた場所であり、少し隠れた場所にあるはずだ。
それでもあからさまな行動に出たとしたら、那田蜘蛛山後に柱合会議で冨岡さんや炭治郎を責めた人物と同一人物とは思えない。

4.夢のあとさき
不死川兄弟の昔話。不死川実弥は本編やファンブックなどで紹介されていた設定通り良いお兄ちゃん。
15巻にあった玄弥とすみの扉絵を小説にしたもの。

5.笑わない君へ
柱は忙しい。冨岡さんを笑わせるだけのために柱を集合させるのは非現実的。きっと、時透くんのカラスもキレることだろう。ここでも伊黒さんは露骨な行動に出る。確かに柱稽古のときに炭治郎に対して露骨な態度を取っていたのが、根拠にあるのだろうか。甘露寺さん本人や周りに人、しかも柱がいるところでもここまで露骨な発言をするだろうか。
ちょっとコミカルに寄りすぎてしまったのではないだろうか。

風の道しるべ

1. 風の道しるべ
違和感なし。本編のお館様の発言が根拠だろう。実弥と粂野匡近が下弦の壱を討伐しに行く話。実弥と匡近の出会いからの友情が書かれている。下弦の壱の異能もオリジナルで面白かった。

2.鋼鐵塚蛍のお見合い
小休止作品。タイトルの通りである。炭治郎の刀鍛冶である鋼鐵塚蛍にフューチャーした話。

3.花と獣
禰豆子が太陽光を克服し、伊之助が禰豆子に親分伊之助と教えている時期の話。
伊之助が人の気持ち思いやれるように成長する話。
伊之助が素直に謝るか疑問。本編では、ちゃんと謝っているところはない。無限城で出会い頭に蹴っ飛ばした冨岡さんの同期・村田さんにもちゃんと謝らなかった。
蝶屋敷のみんな関係を理解してカナヲに蝶の髪飾りを渡すところなど、伊之助の成長が急過ぎて少し違和感があった。
まだ伊之助が丸くなるには早かったのではないだろうか。

4.明日の約束
記憶を取り戻した霞柱・時透無一郎と刀鍛冶・小鉄くんとの話であり、具体的には刀鍛冶の里移転までに縁壱零式を二人で直す話である。
記憶を取り戻した後の昆布頭の無一郎は良い奴になった。
記憶を失っていたときと記憶を取り戻したときの無一郎のどちらが人気かは気になるところだ。それぐらい同一人物とは思えないくらい対照的に違う。

おわりに

読みやすく、吾峠先生の挿絵で公式感があり話も面白かった。
もし第4弾が出たらもちろん購入する。

伊黒さんが炎柱に助けられてから(22巻22ページ)鬼殺隊に入り柱になるまでの物語を作っていただき、劇場版にしてください。お願いします。
今の柱が柱になるまでが何らかの形で書かれているのは、実弥さんと煉獄さんの二人だけである。
刀を持って2ヵ月で柱になった無一郎の異例の早さの立身出世伝など、本編が終わっても鬼滅の刃の興味は尽きない。

なお、鬼滅の刃外伝のコミックも読んだが、あちらは絵があまりに違い過ぎて同人誌にしか思えなかった。

<参考文献>
鬼滅の刃 しあわせの花 吾峠呼世晴 矢島綾 集英社 2019
鬼滅の刃 方羽の蝶 吾峠呼世晴 矢島綾 集英社 2019
鬼滅の刃 風の道しるべ 吾峠呼世晴 矢島綾 集英社 2020

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