三秋縋著「恋する寄生虫」の読書感想




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レビュー:★★★☆☆
世界観を構成する内容量が十分であり、恋する寄生虫という独自性もあった。
個人的に、特に感動するとか心を動かせられるなどがなかったので、こちらのレビューとした。
恋の形としては、斬新で未知の世界であった。
裏表紙に書いてある「(略)二人の恋が、<虫>によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎない(略)」というのがネタバレであらすじである。
裏表紙に書いてあるので、そのまま引用させていただいた。
物語全体として、一貫性があり寄生虫について詳細に記載され疑問に思う点はなかった。

寄生虫の説明に大部分を割いているが、テーマとしては「恋」が与えてくれる「多幸感」の大きさであると考える。
絶望の中で巡り合った恋は多幸感をもたらし生きる気力を与えるというのは理解できるし、この本の見どころと言える。
寄生虫についての説明が十分でよくわかった一方、多幸感や自殺から逃れられない絶望の詳細がやや伝わってこなかった。この振り幅が鮮明になると「恋」がもっと引き立ったような気がするが、寄生虫への熱量と比べると物足りなさを感じた。自殺という言葉や事実だけで、どうしようもなく辛かったんだなと推測させるように書かれていたと思う。動機が病気の悩みによる自殺は中々重い問題で、このことをメインテーマにするのは難しいことだろう。

きっかけが「操り人形の恋」であっても、恋が素敵ことであることに変わりはないのはその通りだと思う。
絶望の世界の中でもがきながら、寄生虫の働きによって精神がギリギリで保たれているいうのは斬新で奇妙にも思えるが、現実味を帯びている物語であった。
高坂の作ったSilentNightというワーム発動のその後についても、もう少し記述があった方がスッキリしたと思う。高坂と佐薙の恋が実った期間もあっという間で、寄生虫を除いた事柄についてもう少し詳細があった方が奇跡的に均衡が保たれた世界に感動したかもしれない。

きっと映画では、小松菜奈さんが物語の行間を埋めてくれることだろう。

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