平手友梨奈さん主演で映画化!「響~小説家になる方法~」の読書感想
最後の方に12巻までを読んでの追記有
1.はじめに
私は、欅坂46の平手友梨奈さんの主演で映画化されるのを聞いて読み始めた。
2017年マンガ大賞を受賞されていたようだが、そのことすら知らなかった。
現在発売されている単行本は9巻までであり、そこまでを読んでの感想である。
脳内で主人公鮎喰響が平手さんになっていたので、純粋な漫画を読んでの感想ではない可能性がある点はご了承願う。
ビジュアルに脳内補正がかかっていた。
極力ネタバレを避けた感想を書くが、事前情報を一切知りたくない方はここで閉じていただきたい。
とはいえ、Amazonの商品の説明(内容紹介)のところに完全に結果(ネタバレ)が書かれていている。
2.感想
女子高校生の天才小説家という文芸にスポットを当てた設定が斬新で面白かった。
文芸界に突如現れた史上最高(級)の天才女子高生の話である。
高校入学から話は始まる。
架空の世界の設定ではなく、芥川賞と直木賞が出てきたり、村上春樹が存在したりする現実の世界である。
天才は出るべくして世に出て、その才能は周りを引き込むものである。
スポーツ漫画では天才ルーキーが入ってきて、仲間と切磋琢磨して全国制覇目指すという設定がよくある。
響では、鮎喰響が天才過ぎてライバルは高校生は疎か、大人にもいないぶっ飛び具合で描かれている。
文芸界に焦点を中てるだけではなく、漫画映えする圧倒的な才能をもった女子高生という斬新な話である。
注意点としてはバイオレンスな描写も多い。
天才とは変わり者である、常人とは違うということを言いたいがための奇行がバイオレンスで表現されている。
漫画として一番近い作り方(体系)としてはドランゴン桜だと思う。
正直、絵はあまり上手いとは言えない。テーマ、焦点が秀逸であり思わず読み進めてしまう作品である。
巻数が進んでも絵はあまり変わらない。
響は変わり者ではあるが、仲間がいて文芸部に組織している。
見方によれば、普通の高校生活を描いているようにも読める。
実際に文芸部の部室での様子や合宿なども描かれている。
違うのは、ただ文才が飛びぬけていることだけだ。
副題として、「小説家になる方法」とあるが小説家になる方法のハウツー本ではない。
文芸界、とりわけ出版社について割と詳しく書かれていて、新人賞がどうやって決まるかなど最初のころは丁寧に書かれていた。
主人公の鮎喰響は圧倒的な文才を持っていて、小説家には努力しても越えられない壁があるというのは何度も出てくる。
どういう風に響の文章が優れているか文学的に表現はされていない。
周りの文芸部員と比較して跳びぬけて上手い、賞を取ったなどという結果で優れていることを示している。
才能には勝てないというのが、この漫画に描かれている小説家になる方法と言える。
あまりに天才過ぎる設定のため、6巻で既に峠を越えてしまっている。
これ以上天才を表現する方法がなくなってしまっているところまで来ている。
これは現実の世界にある芥川賞と直木賞を使ってしまった副作用である。
今後文学から遠ざかった作品になっていかないことを願うばかりである。
6巻の初め(高校一年生)までは、展開が早くあれよあれよという間にとんとん拍子で進んでいく。
早く続きを読みたいという衝動に駆られ一気に読んだ。
3.おわりに
あり得ない設定ではないと思う。
将棋の藤井聡太さんも高校一年生で現在圧倒的な才能を見せている。
高校の文芸部や純文学の世界に光を当てた珍しい作品であった。
この作品を機に高校で文芸部がメジャーになっていくような予感を抱かせる作品である。
9月14日公開予定の「響-HIBIKI-」が非常に楽しみである。
映画化によって一層、文芸界に光が当たることを確信してやまない。
<追記>
「響~小説家になる方法」は平手さん主演の映画の予習のために買った原作本だった。
映画を観終わった後も、せっかく集めたからと買い続けいていた。
鮎喰響が某2大文学賞を取った6巻がピークで惰性で11巻まで続いていた。
しかしながら、12巻は違った。
12巻は面白かった。
どこが面白かったというと、平手さんいじりともとれる
攻めた内容になっていたからだ。
鮎喰響=平手友梨奈というイメージへの作者の挑戦が感じられた。
私は、平手友梨奈さんのアンチではない。
むしろ、信者に近い。
現状として、平手さんをいじれるのは、
SOLのとーやま校長くらいである。
僕の世界での孤高のカリスマであるのは
好きだが、普段もそこに縛られているのを望んでいるわけではない。
腫れ物に触るではなく、こういったいじる存在は貴重である。
「響~小説家になる方法」の作者は、新たな境地に達した。
<参考>
歴代のマンガ大賞
出所:マンガ大賞2018(http://www.mangataisho.com/archives/)
2017 『響~小説家になる方法~』柳本光晴
2016 『ゴールデンカムイ』野田サトル
2015 『かくかくしかじか』東村アキコ
2014 『乙嫁語り』森薫
2013 『海街diary』吉田秋生
2012 『銀の匙 Silver Spoon』 荒川弘
2011 『3月のライオン』羽海野チカ
2010 『テルマエ・ロマエ』ヤマザキマリ
2009 『ちはやふる』末次由紀
2008 『岳』石塚真一
マスター:クレア