【藤井】ドラマ『ドラゴン桜2021』の感想【結果】

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こんなに感動したのはいつ振りだろうかというぐらい感動した名作だった。
走れメロスに出てくる邪知暴虐の王の心すら動かす作品だと信じて止まない。
ちなみに、私は漫画版「ドラゴン桜」「ドラゴン桜外伝エンゼルバンク」「ドラゴン桜2」を全巻読んでいるし、前作のドラマ「ドラゴン桜」も観ている。

以下ネタバレ(具体的な内容)を含んだ感想となるので、ご注意いただきたい。

ドラゴン桜(2021年版)の原作は漫画「ドラゴン桜2」となっている。原作よりもはるかに良い作品となっている。原作のエッセンスは全て包含された上で、さらに進展、発展させた物語がドラゴン桜(2021年版)である。受験結果など原作と違うところがあるが、ドラマ版はドラマ版として見どころだくさんのうちに完結した。私は原作の長年のファンではあるが、原作に忠実にして欲しいとかそういう低い次元を超越したところにドラゴン桜(2021年版)はあった。10話というのは連続テレビドラマにしては少し短い気もするが、その分間延びがなく、どの話も心に残るものなった。

原作もドラマ版も、(真の)主人公は藤井だ。原作もドラマ版も藤井の成長は涙なしには見られない。ドラマ版もドラマなんだから、何とかして最後はハッピーエンドにして欲しかった。ドラマ版は改心するのが早くないかと思ったが、最後にあんな山場が持っているとは思いもしなかった。最後に藤井を通して、受験当日は何が起こるか分からない、受験は非情という原作にはないメッセージをくれたのだろうか。前作の矢島もそうだが、尖っている生徒ほど、心惹かれるものがあるのは不良っぽい生徒の方がカッコよく見えるという日本人の性だろうか。

東大専科には複雑な家庭の生徒がいる。前作の水野直美(長澤まさみさん)がそうだったように、受験できるのが当たり前ではないというメッセージや複雑な家庭の生徒への道しるべでもあるのだろう。今回は特に印象に残ったのは発達障害の生徒である原健太である。これは、複雑な問題である。ドラマを観ていると、もちろん東大専科の生徒を応援する気持ちになるので、健太を贔屓に観てしまう。一方で、暴力はいけないが大切な受験のときに健太が隣の席だったら、どう思うだろうか。これは私の体験だが試験本番で貧乏ゆすり、鼻水をずっとすすっている、音読する人に遭遇したことがある。流石に音読は耐えられなかった。我慢したが、何も良いことはなかった。試験中に試験官に申し出るのも勇気がいることである。健太のようなあんな挙動不審で急に大声を出す受験生が人生のかかった試験で2日間もずっと隣だったら、私も感情を抑えられる自信はない。最後のシーンはただ美談とするのではなく、包括的に物事を考えてしまった。もちろん多様性は尊重したい。

そして、岩崎楓が所属していたバドミントン部の極悪さには目も当てられない。ダブルスパートナー清野と和解というか最初から岩崎はあまり怒っていなかったのがよく分からないが、岩崎は雲の上の高い次元で物事を考えているのだろうか。味方であるはずの人間が突進してまで足を潰しにきたのは、キャプテン翼すら顔負けの極悪非道のプレーである。ダブルスパートナー清野は数々の悪役が登場する本作にあっても、作中最強のヒールと言える。いい歳したコーチも何も裁きを受けず、バドミントン部に関してはモヤッとするというか、見てるこちらがわだかまりができた。何はともあれ、卒業式でも涙を見せない強い人間に成長した岩崎ならきっと大丈夫だと思わせられた。

瀬戸は最初こそ岩崎思いが過ぎる酷いやつだったが、しだいに憎めない、欠かすことができないムードメーカーになっていった。結局、岩崎と瀬戸はどういう関係だったのかは分からずじまいである。小杉が何であんなに健太思いなのかも分からない。家が隣で幼馴染だから、あそこまで寄り添うのは小杉のキャラクターとは合っていないような気もするが、何か思い出があるのだろう。天野も早瀬も愛すべきキャラクターだった。理事長は最初から教育者だったし、岩井、小橋も良いやつだった。仲間がいるってことは素晴らしい。

また、何と言っても桜木(阿部寛さん)の言葉は心に響くものがある。長澤まさみさんと阿部寛さんのコンビはさすがというか最高だった。前作の登場人物が出てくる視聴者サービスもありがたかった。欲を言えば、全員揃った姿が見たかった・・・。今作のメンバーも今後の益々のご活躍をお祈りしたい。

とにかく良かった。受験生に限らず、おすすめの作品である。

<参考文献>
TBSテレビ 日曜劇場『ドラゴン桜』
URL:https://www.tbs.co.jp/dragonzakura/about/

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