宮田愛萌著「きらきらし」の読書感想

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全て超短編なのであらすじ紹介は、ほぼネタバレに等しいので省略する。
つまりは、本当に個人の感想を書いたものである。

私は、欅坂46の平手友梨奈さんが推しで、おひさまではなかった。
それでも沁みるものがあり、きっと宮田さんはこんなことを思って書いたのだろうと読みながら想像した。小説として良き出会いだった。きっとおひさまやチームヘモグロビンの方が読めば、全ての点が線で繋がることだろう。知らんけど。
俄か勢の私からしても、宮田さんの日向坂での活動を小説に織り交ぜたのが感じられる結晶であった。
「卒業制作」に偽りなし!
あざとさとは真逆の真面目さやひたむきさが全ての物語の根底にあった。

なお、私の万葉集については以前に人に勧められて「Manyo Luster 万葉集」を買って、インテリアとしている。
そして、もちろん前作「羨望」も読んでいる。

全て超短編なのであらすじ紹介は、ほぼネタバレに等しいので省略する。
つまりは、本当に個人の感想を書いたものであることをご了承の上、ご。

短篇ではあるが、打ち上げ花火のような一発の華やかさや猛々しさがある物語ではなかった。帯に書いてある『誰もが、切なく愛おしい、きらきらした欠片を持っている。』、まさにこの通りだと思う。日常を切り取った、丁寧な青春小説である。

各物語の最終頁の現代訳を読んで、「あぁ、そっちだったのか」と解釈に気づき、別の物語に見えたので何度か読んでようやく深さに気づく物語だなと思った。
この点において、宮田さんを知らない方にもおすすめできる作品と言えるだろう。

「つなぐ」は、きっと宮田さんの日向坂での活動を重ねて書いたものだと勝手に推測しながら読んだ。宮田さんの足跡はグループの歴史に刻まれている。「坂道の約束」にあるように、私は俄か勢なのでそのうち忘れてしまうかもしれないが。一時の感情の約束なんてものは当てにならないものだ。他にも、百合の物語や性別にとらわれない関係などサブカルチャー好きが散りばめられていた。
物語の「きらきらし」は、後で振り返ってみると「きらきらし」だったなと思う類の当事者では気づかないようなものだ。「古き良き時代」とは良く言うもので、あのときはきらきらしていたなと思うような淡い幻想や過去の美化にも思える。それでも過去を肯定した方がしあわせだろう。幼稚さできらきらしたものに後ろ指を指したくはない。だから、私にとって、ハピネスを除いた4つすべての物語が前向きの作品に思えた。ハピネスだけは、冒頭にある「幸せな絶望(P6.7)」と何とも言えない言葉があるとおり、毒づくのを抑えきれなかったのだろうか。ハピネスというタイトルからしての皮肉、「紅梅色」や「好きなになること」にも共通している好きなものを好きだということ、自分の気持ちに素直になること、その願望をメッセージとして受け取った。つまりのところ、短篇でありながら読後に感じるメッセージ性は強いものだったと思う。

私が一番好きなのは「つなぐ」である。個人的に共感できるところが強くあったからだ。その人が持っている・感じる「きらきらし」によって、一番好きな作品は変わると思う。その点において短編集の良さである多様さがあった。

グラビアが48ページあり、そちらの感想を書くと万葉集の世界観から離れないものとなっている。坂道グループ写真集の定番のランジェリーや水着はない。見たかった気もするが、小説集なのでこの「きらきらし」が正解だったと思う。
なお、谷間が見えるカットが2枚あった。日向坂ファースト写真集『立ち漕ぎ』の方が、やはり写真集なので攻めていた。
ゲスな事を書いているが、ミスマッチを防ぐためには必要な情報だと思い書き残す。

作品は、宮田さんの現年齢の視点が基準になっている。つまりは、物語は宮田さんの世界観そのものなのだろう。今後の中編や長編小説に期待したい。

この度は、日向坂46卒業おめでとうございました。

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<参考文献>
きらきらし 宮田愛萌 新潮社 2023.2

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